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全然パラダイス

いつか来た道

あなたは、日本3大ガールをご存じですか?

山ガール、森ガール、そして最後は…

 

檻なのだ、檻ガール!

ラジオライフあたりで特集希望!表紙はテレンス・リーとカルーセル麻紀で。

 

懲役女子と文通したい!前回の話の続きである。

 

 

さて。

やってきました、地方検察庁の地下。

今日も獲れたて、もぎたての懲役が、産地直送で入荷中である。

 

ここで少数のグループに分かれて、雑居に放り込まれる。入室時に番号を割り当てられ、その番号が書かれた位置に座るのだ。

検事からお呼びが掛かれば、この番号と警察署名で識別される。

 

これは今現在の状況で、以前は同行室での番号割りはなかった。

警察署名と名字、またはフルネームで呼ばれる。

懲役に個人情報なんて関係ない。

 

この同行室はいくつかあり、未成年や懲役女子は別室だ。ただ、この辺は地検や時期によって扱いが違う。

 

オレが当時出荷されていた地検では、男と同じフロアに未成年も懲役女子も居たのだ。

もちろん、かなり離されているが。

 

雑居内で改めて聞き込みをするも、情報はなし。

さあ、どうすればいい?

 

 

諦めるのはまだ早い!早いっていうな。

自分から動けばいいのだ。

そうだ、懲役女子に、会いに行こう。

 

雑居内にはトイレがあるが、大をする場合は空房の別室でやらせる地検もある。臭いが狭い房内に充満し、時にはケンカにもなるのだ。

この時の地検がその対応であった。

 

「チョーさん、ロング♪」なんつってさ。

おまわりさんに声かけするわけ。

 

「うんこ」なんて下品なコトは言わない。

存在自体が、うんこのくせに。

 

「ロング」または、「しゃがみ」。

それが通じないチョーさんには、「黄金」!

すると房から出され、長いフロアを空房のところまで歩かされる。

 

ロング用雑居の、通路を挟んだ左斜めが少年房、そして少し離れた右斜め前が女子房であった。

 

片手錠にされ房内に入る、中は空房で誰もいない。そしてチョーさんは離れていく。

数分したら様子を見に戻ってくるのだ。

その後ろ姿を見送る…

 

ワレ、地の利を得たり!

ココ山岡、じゃなかったココが山場なのだ!

いそげ、あわてろ!

 

「お姉さん、○○署の○○と言います、よろしければ文通しませんか?」

文字に起こすとあまりの間抜けさに、言った本人もビックリである。

 

「こっちこっち!」と中声くらいで叫びつつ、顔を通路側の金網に近づける。

 

必死である。

シャバでこんなに必死になったことがあるだろうか?左斜め前の雑居にいる、金髪青少年と視線がぶつかった。

 

そんな目でオレを見るんじゃない!

考えるな、感じるんだ!と、自分に言い聞かせる。股間、じゃなかった五感を研ぎ澄ませ!と。

 

「オレの名前、○○ ○○と言います。お手紙を貰えたらお礼をします!」

「留置では、和製トム・クルーズって言われています」なんつってさ。

 

今思うと反省反省ですよ。

もっと気の利いたこと言えなかったんか、という意味で。

 

そのうち、チョーさんが声を聞きつけてやってくるわけ。そこでなんと言われるか?

 

「おまえ、公務執行妨害で逮捕してもええんやで?」

いいとも! こらこらこらこら、うそです~

おまわりさん、生まれてきてごめんなさい。もうしません、また来た時にやります。

 

 

それで結局、懲役女子から手紙は届いたのかって?手紙の前に、事件のほうで2発目の逮捕状が来た。

 

そのまま再逮されて、接見禁止ですよ。

起訴通知が届いて接禁取れても、女子からの手紙は届いていなかった。

 

みんなシャイだなあ。

ほんと、ごめんなさい。