取調べと言えば、何をイメージするでしょうか。
カツ丼ですね、はい。
怒鳴り散らす若手を諌める、ベテランはぐれ刑事は純情派、はいはい。
ケイン・コスギもいたよね。
いや、違うんだよね。
わかる人にはわかるが、取調べといえばタバコなのです。
担当刑事と事件について話している時や調書を巻いている間、こっちは座って茶を飲みタバコを吸う。
担当刑事や警察署が変われば、飲み物もあったり無かったり種類も変わったり…
しかし、タバコは私の知る限りドコでも吸えた。
それが、一昔前のよく見かける取調べ風景だったのだ。
刑事が嫌煙でも被疑者が喫煙者なら灰皿完備。
お金が無くてタバコを持っていなくても、留置場備え付けのタバコ(以前入っていた者が置いていったタバコ等)があり、それで吸えた。
便宜供与と言われちゃうかもしないけれど、刑事がくれるときだってあった。
タバコ吸いたさに、自分から取調べを求める者がいる。
「オレを調べろ!」…と。 アホかと。
「話したいことがあるんだ!」…なんつって。
暇なんですよね、取調べがない日の留置場内って。
では、取調べのない被疑者は、留置場内で普段何をしているのでしょうか。
・ 留置備え付けの本(官本)か、差し入れの私本または新聞を読んでいる。
・ 弁護士や友人知人、事件の関係者に対して手紙を書いている。
(必死に書いても返事が一切こない…よくあるパターン)
・ 思いっきり寝ている。
・ ストレッチや筋トレで身体を動かしている。
・ ノートに何かしらメモを取ったり絵を描いている。
・ 同房の者と雑談をしている。
逮捕される前は、ことあるごとに吸えたタバコも今は無理。
だからって、何か食べたり飲んだりして気を紛らわせるのもなし。
白い壁と明るい室内灯と犯罪者っぽい男たちとアナタ、窓から景色を見ることも出来ない。
ドコからもお呼びが掛からない日が3日も続けば、騒ぎ出す奴が出てくる。
刑事課に(内線で)連絡を取ってくれ、なんて言い出すのだ。
掟破りの逆指名、オレを取り調べろ!…と。調べるコトなんて何も無いクセに。
諦めた頃に、取調べの呼び出しがくる。
「ばっかやろー今頃かよー!」
なんつって、嬉しそうな顔して出て行くんだな、これが。
「おう、いってくらあ~」
「いってらっしゃーい」
なんて掛け合いしちゃって、アタシたち。
こういう騒ぎ出す奴は、大抵ポン中である。
マーシー系のビュンビュン系。
現役なのに騒ぐ奴もいるが、そういうのもやっぱりポン中だったりするんだよね。
あーやだやだ、忍耐力のない犯罪者って。
忍耐足りないから犯罪してるんだって。
タバコはさ、自分で買えるンだよね。管理(おまわりさん)が、コンビニで買ってきてくれるか、署内の自販機で調達。
だからメンソールはない!他を選べ!3種類しかないがな!
なんてコトもあるし、カートンで買い揃えが出来るところもある。
タバコは毎朝の運動時間に2本まで吸える。(今は吸えない…ハズ)
1日朝に2本、食事の後には吸わせない!
(署によって処遇は変わるのでこの限りではない)
しかし、取調べさえあれば…その時間は何本でも吸い放題である。
だから、笑顔で取り調べに行く輩が出るのだ。
昼食後に取り調べが入ったときの嬉しさは、妙な開放感すら漂う始末。
見送るこっちも羨ましくてしょうがない、なんて恵まれた取調べなんだ…と。
みんな、頭おかしい
刑事のほうも時間があれば、調べが終わっていても理由を作って呼んでくれた。
そういう調べを、「面倒見」といったもんだ。
大晦日、元旦、留置場で過ごす者を面倒見で呼び、こっそりミカンやお菓子をくれる刑事もいる。
だからって再犯率は下がらないンだよなあ、まいっちゃうね人間ってやつはさ。
代用監獄からタバコを取ったら、自白以外することがない
もっと他にあるだろう、大切なコトが。 …仰るとおりでございます。