そう思って観ている人間は必ずいる。
たとえば、堀江さん。
アノひとが行った長野刑務所は、初犯が行くトコ。
でもね、最初からA(初犯)級だったわけじゃないんだよ。
以前はB級(累犯)だったんだよね。
ちょうど、BからAに入れ替えする時期に入っていたヤツが面白おかしく当時を語ってたわ。
初犯刑務所というのは、犯罪を犯すのが始めてという意味ではなく、刑務所に行くのが始めてという人を指す。
みんな刑務所が始めての、ビギナーの集まり。
中には前刑ある奴もいるけど、そんなのマレよ、稀。
逆に初犯でもBに行く奴もいる。
そういうのは現役の人間だから、なんて知ったかぶりする人もいるけれど、カタギでも初犯で一発B級行きも居るからね。
お上を舐めてはいけないのだ。
初めての刑務所は、どんなに強がっていても内心ビクビクもんだよ、最初はみんなそう。
そこで仕入れた唯一の知識を、さも刑務所でございと言わんばかりに披露する。
こんなトコでした、こんなコトがありましたー! 私見たんです!
そんなの、本当の刑務所ではない。
刑事施設は昔は監獄法、今は刑事収容施設法と変わり、随分と待遇が良くなっている。
規則はあるけれど、それを運用するのはあくまでも人なんだよね。
だから、留置でも拘置所でも刑務所でも、同じ法律の下で管理されているが、施設によって処遇の違いがあるんだ。
幹部職員や所長(署長)が変わるだけで、ガラっと内部の決まりも変更されることがある。
昨日まで平気だったことで、突然注意を受ける。
理不尽の存在しない日はない、それが刑務所なんですよ。
それなのに、素人みたいな元受刑者が知ったかぶりして語る話は、聞いていてツッコミどころ満載である。
例えば、話し始めあたりで
「拘置所では~」 なんて語るやつ。
素人、一見さんよ。
違いのわかる男は拘置所なんて呼ばない、「未決(みけつ)」だろうに。
東京拘置所を「東拘(とうこう)」、大阪拘置所を「大拘(だいこう)」と呼ぶこともある。
さらに神戸拘置所を「ひよどり荘」なんて呼ぶ人間は、相当のマニアである。
マニアってなに? かっこわるー!
そんな違いわかりたくないし、素人のほうがまだ健全だと思うンですけどー!
まったくもって、仰る通りです。
ウチの工場に来た奴でね、見たことある新入だと思ったら出戻りだったんだよね。
付いたあだ名が、「○○フォーティーエイト」(空欄は苗字)
出所後、48時間で逮捕。安定の覚せい剤常用者である。
私が知っている最短は、12時間だなあ。けど、もっと短いひともいるだろうね。
だいたい、ポン中が一番はやく刑務所ループしてる。次は窃盗。
刑務所の話はポン中に聞け!である。彼らは酸いも甘いも心得ているのだ。
ポン中に会いたきゃダルクに行くといい。
ダルクに居る人間でも覚せい剤扱ってる奴が居るからね、ポン中はポン中を呼ぶ。
また、身元引き受けの居ない仮釈の人間が入る、更生保護施設(保護会)。
あなたの街にもきっとある。
合宿生活をする寮みたいなトコだけど、ここでもネタ扱ってる奴いるからね。
覚せい剤の根は君たちが思う以上に深く闇が広がっているのである、ヤダヤダ。
刑期が長くて同じ工場にずっと居るとさ、仮釈とかで居なくなっても、また戻ってくる奴に何度も会ったりするんだよね。
ブーメランかっつーの。帰巣本能つよいなー!
普通は恥ずかしがって、別の刑務所や工場に行くもんだけどさ、中にはオヤジに頼んで引っ張って貰って笑顔で凱旋してくる奴がいるんだよなー。
んで、垣間見たシャバの情報を得意げに披露しちゃってさ。
「1パケの値段、高くなってるお!」なんつって、どーでもいいっての!
みんなもシャバの情報に飢えてるからさ、親鳥を囲むヒナみたいにピヨピヨしちゃって。
「じゃあ(刑務作業で稼いだ)報奨金で3パケ買えるじゃん、もっとマジメに頑張って稼ごう!」
なんつって、団結しちゃってさ。ノートにお小遣い帳を書き始めて節約生活するんだ♪だと。
千切れて死ねばイイのに。
あー、やだやだ。ポン中の懲役太郎ってホントやだ。
ムショにいるポン中って、まともな人間も少なからずいるけれど…やっぱりどっかオカシイからね。
渋谷とか六本木のクラブで、ドラッグやって調子乗ってるヤツに見せてやりたいわ。
君たちの未来だよ、ってさ。
そしたらこう言うんだよね、「オレは違う、オレは中毒じゃないから」「オレは大丈夫」
ムショのポン中も、ほとんどそう言うんだから、笑っちゃうよなあ。
ポン中は病気なんだから、刑務所も別にして欲しい。
一部の狂ったポン中のせいで、まじめな犯罪者の更生がどれだけ阻害されているか。
まあ、犯罪者自体が病気みたいなもんだから、世間様からすれば一緒に入れても問題ないってね。